なおと歯科クリニック

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更新日 2017-07-30 | 作成日 2008-05-15

抜歯をしない歯医者は良いのでしょうか?

抜歯に関する疑問にお答えいたします

患者さん個々に於ける一生涯を考えたオーダーメイド治療をお薦めいたします。

私を含めてですが、
十分に保たせることの出来る歯を抜く歯医者はいない
という前提にて話をさせて頂きます。

動画歯槽骨の吸収100.gif昨今、色々歯科医院のHPを訪れてみると(できるだけ抜かない)と過度にアピールしている医院が多いようです。保存可能な歯を抜かない、という点に関して私も全く同意見であり、ごく当たり前のことであります。
しかし保存不可能となり限界を超えても抜歯を避け、自然脱落あるいはどうしようもなくなってから抜歯を行い、無歯顎となった場合のデメリットについて正確に記述されているHPは少ないように思います。
これでは単なるその場限りの請け狙いで、個々の患者さんの生涯にわたるQOL(生活の質)を無視した偏った情報だと考えざるを得ません。
歯周病、程度の差こそあれ日本人成人のほとんどが罹患している慢性疾患であります。
また漢字で書いての通り(歯の周りの病気)つまり歯周疾患、歯槽骨が破壊される病気です。


歯周病のスタンダードな治療方法は歯石除去などにより、これ以上の歯槽骨の破壊(吸収)をストップさせ、現存する骨と歯を温存する目的で行われます。しかしある一定以上歯周病が進行した場合そのまま歯を放置することにより歯槽骨の吸収が抑えられなくなり顎が急速に痩せ衰えてしまいます。

インプラント骨がしっかり残っているのでご希望であればインプラントにて処置することも可能ですインプラント不可骨が痩せているためこのままでは神経を損傷し麻痺の恐れがあるためインプラントは不可です


義歯安定入れ歯は乗馬に使う鞍と同じです、しっかりと安定してよく噛める入れ歯ができます義歯不安定一見しただけでグラグラと口の中で動き回りそうな入れ歯ですね


いざ歯がなくなり入れ歯を作製する場合、或いはインプラント手術する場合でも痩せた顎(歯槽骨)では条件が非常に厳しくなっており、その後の快適な食生活が脅かされてしまいます。
そればかりでなく過度に吸収が進行した顎骨は日常生活のちょっとした打撲等で簡単に骨折しやすい状態といえるでしょう。
不幸にしてこの様な状態となってしまっても、ピッタリとした義歯を使用すれば添え木補強効果が生じ、骨折を防止する事になります。が、しかしそれ以前の問題として
我々歯科医師は何とかして患者さんの顎骨の吸収破壊を防止しなければなりません。


骨折はぴったりした入れ歯を使用することで、ある程度予防できますこちらの患者さんは複数個の総入れ歯を持参し来院されました。私も同様にタンス入れ歯を作製してしまうのかという不安と共に着手しました。現在ではパイロットデンチャーシステムにて快適な食生活を送って頂いております。 強く噛んだだけでも折れてしまいそうです左の写真左側臼歯部に一番短い8ミリ(×1,25)のインプラントをトレースしたところです。神経に触れるどころか骨を突き抜けてしまい、仮にインプラントを希望されても不可能です。


かなり安定してきました上のレントゲン写真の患者さんの義歯です、インプレッションメイキング(テイキングではない)により下顎骨を包み込むような、入れ歯らしい形態となっていきます難症例希代の難症例、段階的に挙上を繰り返しパイロットデンチャーにて2年近く過ごしていただきました。過去に我慢の限界が来るまで抜歯を拒否されてきたそうです


以上の観点から、ある段階を超えて進行した歯周病の場合、抜歯を行い骨の温存を図るべきと考えます。つまり歯を抜くことにより歯周病の原因がなくなり、それ以上の骨の破壊が止まります。
考えてみて下さい、グラグラの歯を残して入れ歯を作製すると動揺歯に入れ歯の針金を掛けて口の中に固定することになります。歯と一緒に義歯が口の中で動き、どう考えても快適な入れ歯が出来るとは思えません。

そうはいっても歯を抜くというのは非常に微妙な問題があり、いくら医学的に正しいことであっても患者さん本人の意に反しては単なる暴力行為になりかねません。誰でも自身の歯を抜かなければならなくなった時には何ともいえぬ寂しさを感じるものであり、はじめて入れ歯を入れる時にはなんとなく劣等感のようなものを抱くようです。ところが痛くなく、見た目も美しく何でも食べれる(病んでいた御自身の歯があった時より)ようになると入れ歯に対して持っていた嫌悪感は全く無くなります。

昔、人生50年の時代は入れ歯になる方はほとんどいませんでした。現在では医学の発達とともに平均寿命が格段に伸び、特に日本は世界一の長寿国で女性では85歳を超えております、これはあくまで平均であり新生児死亡率や自殺、事故による死亡なども加味した値です。
一生自身の歯で生活することは理想であり、それを目標に歯科医師も努力していかなければならないと考えております。
ですがその一方で、なかなか歯は寿命の伸びに追いついていないことも事実として存在しております。

皆様も耳にしたことがあると思いますが80歳で20本の歯を残そう!(8020運動)これは本当に目標なのでしょうか、もしかしたら単なるスローガンなのかもしれません。

野生動物は歯が無くなった時が生命を終えるときです。歯が無くなっても人間は歯科医学により快適に、かつ文化的に生活することが可能であります。また人間は煩悩の生物であり、現代社会において様々な欲(物欲、金欲、名誉欲、色欲など)と共に生活しておりますが、年を重ね老化に従いそれらがだんだんと消失していくと言われています。そして人間最後まで残る欲が食欲(病気などで一時的に食欲が喪失することはありますが)であり、食欲が恒久的になくなった時に死期が訪れるのでしょう。

言い換えれば、歯(入れ歯)がしっかりしていない為に満足な食生活を送ることができないと人間、生きていて楽しくないのではないでしょうか。

私は患者さん個々の状態を総合的に判断して生涯御自身の歯、若しくは入れ歯、インプラントそれぞれの場合において健康で文化的な生活の中の一分野としての食生活を快適に過ごせるようにサポートさせて頂く所存です。

普段から定期的な健診を欠かさず、自宅での歯ブラシ等しっかりケアされている方は抜歯の必要性が生じた時に素直にそれを受け入れることが出来、痛くなったり腫れた時にだけ歯科医院の門をくぐり、痛みが取れたことを治ったと勝手に解釈され、治療を中断される方は抜歯せざるを得なくなった時に強固にそれを拒否されることが多いようです。